トダイルミ2020の進め方公開【プロジェクトマネジメント】
この度、埼玉県戸田市で10年以上の歴史を誇るボランティア団体「市役所南通りの景観と文化を育む会(以下「景観の会」)」の会長様より
戸田市でイルミネーションをやりたいんだけど、どうやって進めたらいいか分からず困っている
とご相談をいただきました。
私、IT/webに関するプロジェクトマネジメントは専門ですがイルミネーションは未経験。。。
ですが、二つ返事で引き受けさせていただくこととしました。
引き受けた3つの理由
- 「地域やみんなを少しでも元気にしたい」という会長さんの熱い思いに心打たれた
- 「ゆくゆくは地域経済を活性化させ地域を豊かにしていきたい」というお互いのまちづくりビジョンの一致
- 「足りない知識は大抵webで手に入るし、プロジェクトの進め方自体はどんな分野でも大して変わらないだろう」という私の安易な考え笑
今も試行錯誤しながら奮闘してますが「こう進めたよ」を記録していこうと思います。これからイルミネーションにチャレンジされたい方や、何かプロジェクトを始めたい方の参考になれば幸いです。
進め方
大きな流れは変哲もない一般的な流れです。かっちりこの順番という訳ではなく、行ったり来たりして調整していきます。
- ①目的確認
- プロジェクトの判断基準となる「なぜ実現したいのか?」を明確にする
- ②目標設定
- 「最終的に達成したいこと」と「今回達成したいこと」を設定し今やるべきことを明確にする
- ③企画
- 実現するものを具体化する
- ④計画
- タスクを洗い出し、いつまでに何をするか決める
- ⑤推進
- 計画どおりか進捗状況を確認し、問題や課題があれば対策していく
また「トップダウンではなくみんなで創り上げていくことを重視してほしい」というリクエストもいただいていたので、各フェーズで
- 決めなきゃいけない事項を並べる
- ものによってはメンバーが意見を出しやすいよう事例や案を用意
- メンバーの意見を聞いて整理
- 意思決定者に決定の判断を促す
という進め方をさせていただきました。
①目的確認
今回のケースではまず
- どんなイルミネーションをやりたいのか?(将来と今年)
- なぜイルミネーションを実現したいのか?
- なぜ自分たちがやるのか?
- なぜ今やるのか?
といった質問をベースにヒアリングし、目的を整理していきました。
「なぜ?」はプロジェクトを進めていく上での全ての判断基準になります。なぜ(=目的)を明確にしてメンバー全員で共通認識できる状態にしましょう。
なぜ(=目的)が曖昧だと、
- 判断ミスが発生する
- 手戻りが発生する
- 不毛な議論が発生する
- チーム内の認識齟齬が発生する、仲が悪くなる
- 優先すべきこと/優先しなくていいことが分からなくなる
- プロジェクトが破綻する
といったことが往々にして起こってしまいます。
トダイルミの目的
トダイルミの目的は、以下の「想い」をイルミネーションという「手段」を使って「課題」を解決すること。
想い | 街の人を喜ばせたい、地域の役に立ちたい |
手段 | イルミネーション |
将来の課題 | 地域経済を活性化し豊かな地域にしていく |
今年の課題 | 感染リスクが高い中で活躍する方々へ「感謝と応援」を届け、感染された方々が差別や偏見などに怯えることなく「安心」できる街にする |
※詳細(会長さんの熱い想い)はこちらの記事で見れます。
②目標設定
目標は、目的と課題から「最終的な目標(達成したいこと)」と「今回の目標(達成したいこと)」に落とし込んでいきます。「最終的な目標」と「今回の目標」を明確にすることで、今やるべきこと/今やらなくていいことの判断がしやすくなります。
「やりたいことは沢山あるが、どう進め方ていいか分からない/忙しくてできない」というお悩みのほとんどは、今やるべきことの優先度がつけられていないことが原因だったりします。
また目標が設定できていないとプロジェクト終了後、終わったけど成功だったのか?/失敗だったのか?/次回は何を改善すべきなのか?も振り返りずらくなります。
後から調整が入ってもいいので、とにかく一旦「最終的な目標」と「今回の目標」を設定することが大事です。
※目標設定の方法については「目標 smart」で検索すると参考になります
トダイルミの目標
最終的な目標
『将来の課題:地域経済を活性化し豊かな地域にしていく』を達成する為に
- 5年後(2025年)までに「戸田市と言えばイルミネーションの街」と一つの観光名物になるくらい盛大なものにし、運転資金は寄付や助成金に頼るのではなく、事業収入でまかなえる状態を目指す。
今年(2020年)の目標
『今年の課題:感染リスクが高い中で活躍する方々へ「感謝と応援」を届け、感染された方々が差別や偏見などに怯えることなく「安心」できる街にする』を達成する為に
- 100人以上に賛同(SNS投稿)してもらう
- 賛同者を増やす為のきっかけや話題作りとして活用できるレベルの綺麗なイルミネーションを実現する
③企画
テーマ、予算、装飾内容、期間、場所、イベント有無を決めていきます。
テーマ
テーマは、前段の「今年の課題」をキャッチーに要約するのですが、ワーディングセンスが問われます。私は苦手です笑
予算と装飾内容
いくらでどれくらいの装飾ができるか、メンバーが誰もイメージがつかなかった為、「予算」と「装飾イメージ」と「装飾費用」を行ったり来たりしてイメージを固めていきました。
- 予算:資金調達の計画を具体的にし現実的な目標予算をざっくり割り出す
- 装飾費用:イルミネーションのカタログやインターネットで確認
- 装飾イメージ:予算内で可能な装飾イメージを出す
※1〜3繰り返し
初めから理想の装飾を話し始めると収集がつかなくなるのでご注意ください。楽しくて盛り上がるのですが何も進まず終わります笑
イメージ画像は色々なシーン(企画、購入時、資金調達時、実際に装飾するときなど)で必要になるので絵や画像編集できる人員を用意しましょう。
予算を決めるための資金調達方法は、事業収入/自己資金/会費/融資/借入/協賛金/寄附/助成金/補助金/クラウドファンディングなど様々な方法がありますのでプロジェクトの内容やフェーズにあった方法を選定します。
今回は、会費/補助金/協賛金/クラウドファンディングで予算50万円調達することを目標にし、目標達成した場合としなかった場合の装飾パターンを用意しました。
支援してくださった方が「期待して支援したのに想像してたイルミネーションと違ってた」ということがないようにするためにも、予算に応じた装飾パターンがあると良いです。
クラウドファンディングのご支援よろしくお願いします!→こちらから
クラウドファンディングは終了いたしました。沢山のご支援ありがとうございました!
期間
期間は、長く開催する場合と短く開催する場合のメリット・デメリットを洗い出し判断しました。
例えば長く開催した場合、
◯ メリット | 街のみんなに喜んでもらえる期間が増える |
✕ デメリット | ランニングコスト(電気代や運用管理コスト)がかかる |
ですが、LEDなので電気代も安く実際にはランニングコストさほどかからないので、できるだけ長く開催しよう、といった感じで決めていきました。
場所
場所は、公園沿いの並木通りも候補としてありましたが、以下理由から後谷公園に決めました。
- 後谷公園は景観の会の主な活動の場(使用許可の実績やノウハウあり)
- 並木通りまでやるのは予算的に厳しい
イベント有無
点灯式、出店などのイベント有無は、密を避けることや、課題でも設定した最小限の形で実現することなどから「なし」としました。
トダイルミの企画内容
テーマ | 感謝と応援そして安心 |
場所 | 戸田市 後谷公園 |
予算 | 50万円 |
期間 | 2020年11月末〜2021年3月末 |
イベント | なし |
④計画
タスクの洗い出し
まずは思いつくままにやるべきことをあげ、ある程度洗い出したらグルーピング(今回は、企画/装飾内容/資金調達/資材調達/人員調達/環境準備/広報・宣伝)し、また思いつくものがあれば追加するという方法をとりました。
この辺は感覚になりますが6〜7割程度やることが出たら、出し切ることに時間をかけず進めながら追加する方が効率的です。
タスクの洗い出しではイルミネーションの経験の差が大きく出ます。実は会長さんは昨年、実験的にイルミゲートを点灯されており、小規模とはいえ一度装飾を実施されている会長さんの経験はとても大きく、未経験の私では思いつかないタスクが沢山でてきました。
スケジューリング
スケジュールは点灯開始日から逆算してタスクを埋めていきました。基本は期限が決まっているタスクだけ埋め、他は進めながら毎週定例会議の中でやることと担当を決めていく方式にしました。(どのタスクにどれくらい時間がかかるか?誰がいつどれくらい時間を取れるか?が見えづらかった為)
WBS作成
タスクをスプレッドシートで洗い出しておき、スケジュールを埋めちゃえばそのままWBSが完成します。
人員計画
通常この後、必要な人員を調達する計画が入るのですが、今回はありがたいことに景観の会の有志が既にプロジェクトメンバーとしていらっしゃったのでこのまま進めました。
途中、プロモーション協力として戸田公園ガイドさんや、装飾設営協力としてサンクジャパンさんが仲間に加わってくださり、成功に向け大きく前進することができました。
⑤推進
週1回1〜2時間ほどwebで定例会議をしています。
定例会議の内容は、前回定例の宿題の確認、次回定例までの宿題(誰が何をやるか)の決め、その他協議事項あれば協議。次回定例まで待たずに相談したいことはメッセンジャーグループで都度相談、必要に応じて臨時会議開催といった感じです。
今回は、会議のファシリテーターもやらせていただいております。私なりのうまく進めるコツとしては、会が始まる前に会の流れを予習しておき、協議事項があれば自分なりの見解を用意するということをやっておきます。
会議は準備が8割です
最後に
とまあこんな感じで7月からスタートしたイルミネーション「トダイルミ」プロジェクトですが、あっという間に3ヶ月たち点灯日まで2ヶ月弱(現在2020年9月時点)。みんな前向きで協力的で建設的なメンバーでめちゃくちゃ進めやすいです。プロジェクトを推進する上で「共通の思いを持っていることの大切さ」と「メンバーの大切さ」を改めて感じます。(良い人が集まっているので、私のプロジェクトマネジメントなんておまけみたいなものです)
本番はこれからなのでまだまだ気合いれて行きたいと思います。状況は随時発信していきます。
「戸田市と言えばイルミネーションの街」と一つの観光名物になるくらい盛大なものにし、運転資金は寄付や助成金に頼るのではなく、事業収入でまかなえる状態を目指す。そんな大きな夢に向けた小さな一歩ですがどうぞよろしくお願いいたします。
興味や質問あればお気軽にメッセージください。
戸田市のイルミネーション「トダイルミ」
<主催>
市役所南通り景観と文化を育む会
<協力>
プロジェクトマネジメント:3街@パパコネット
サイト集客、プロモーション関連:戸田公園ガイド
装飾設営:サンクジャパン
追記
2020.10.09
資金調達額が目標予算50万円を超えました!たくさんの応援とご支援ありがとうございます。
2020.11.29
ついにトダイルミ点灯開始いたしました!